歴史むら

日本の歴史を通してすべての人々が夢と希望のある生活をしてほしい

言霊 〜口頭によるマツリゴト〜

飛鳥時代倭国は文書での政務というものがあまり受け入れられていなかった。

文字も紙もまだまだ未発達な日本は口頭による政務が基本でした。
口頭によるマツリゴトは、文書とちがってその場かぎりでありあとには残らない。

今の時代では口約束なんて何の正当性もないし信用度もかなり低いものだ。

しかし文書にまさる口頭の正当性をもちえたのは古代人の「言霊」に対する信仰に加えて、口頭政務の場が朝廷に限定されていたことに関係する。

古代の人々はことばに霊力がこもっていて、ことばに表して表現されたことは、その霊力で実現されると信じられていた。
また、大王が天つ神から天皇として即位した場所に営まれる王宮の中心施設である朝廷は、天上世界にも通じる神聖で厳粛な空間と意識させられていた。

そこで発せられることばというのは特別な重みのあることばと考えられて、朝廷を場として行われる口頭によるマツリゴトがもっとも正当で、権威のあるものだとされていたのである。